映画は心の筋トレ

子どものころ観たゴジラ映画に始まって今も観続けている映画の備忘録

アクション映画 おすすめは、アクション映画らしくないアクション映画.....「ザ・コンサルタント」

The Accountant (会計士)と呼ばれている男クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)はマフィアなど世界中の様々な犯罪組織の会計業務(裏帳簿)を請け負っているが、「たまには合法的な仕事もしてみよう」とある企業から依頼された使途不明金に関する会計調査の仕事を請け負う。
クリスチャンは一晩のうちに使途不明金の存在を突き止めるのだが、突然、その調査は打ち切られてしまい、その後、彼は、2人の男に襲われ、これを返り討ちにするのだが・・・というストーリー。

1.アクション映画らしくないアクション映画

1)職業は会計コンサルタント、本業は・・・

予告編でも謳われているように本作は、「職業は会計コンサルタント、しかし本業は腕利きの殺し屋」という表と裏、二つの顔を持つ男が企業の暗部を抉り出し、悪の組織を叩き潰す、という痛快アクション映画ということになっています。

でも彼、殺し屋ではないし、また本作はアクション映画というわけでもないですよね。

確かに、ベン・アフレック演じるクリスチャン・ウルフはインドネシアの格闘技シラットの達人で、1マイル先の的を射抜くなど長距離射撃も凄いんです。

シラットやガンアクションは随所で見せてくれるのですが、でもアクション自体そう派手でもありません。

むしろ地味と言ってもいいくらい、なので実践的と言えるのかもしれませんが。

また、彼が敵を倒す、もしくは敵を襲うのには必ず理由があってのことで、誰かに依頼されて報酬を受け取るヒットマン・殺し屋ではないようです。

それよりも「彼の生い立ち」「ある特性を持っているゆえの生きにくさ・不器用さ」「父親や弟との関わり」などが描かれています。

つまり「彼がどうして今のようなスタイルの生き方をせざるを得なかったのか」ということが描かれているドラマという風に私には思えました。

しかし、ある男の生き様を描いたドラマだとしても、そこに説教臭さは全くありません。

むしろドライで、淡々と、かつテンポよく進んでいきます。

クリスチャン・ウルフがほとんど無表情で抑揚のない喋り方をするので、余計に淡々とした感じが強調されています。

淡々と敵の額を撃ち抜きますからね・・・

2)トレーラーハウス

面白いのは様々な小道具?が登場してくるところでしょうか。

彼の隠し部屋としてのトレーラーハウスはとても興味深いです。

様々な銃器、高級スーツ、札束、金(Gold Bar)、絵画(報酬として支払われた)などが整然と並べられています。

こういうのって、でも一種、男の憧れじゃないでしょうか?

私は憧れます・・・。

隠れ家があり、凄腕で、大金や資産、武器までもそこに隠し持っている、という設定が。

このトレーラーハウスを見たデイナ(アナ・ケンドリック)の「いったい何なの、これは?」という問いに、

「PanAmerica, Airstream 34feet 7inches long, 8feet 5inches wide」と車の概要そのものを真面目に答えるクリスチャンが可笑しいです。

デイナは決して、そんなことは聞いていないのに、彼の特性ゆえに、そんな問答になってしまうところが、可笑しくてちょっと哀しい部分でした。

3)Jesus, Mary, and Joseph

この映画はもう何度か観ているということもあって、今回は英語字幕で観てみました。

気になる表現はいくつもあるのですが、私のお気に入りがこちら。

クリスチャンが自宅に備え付けていた可動式の機関銃を、捜査に来たFBIが見つけた瞬間に、FBI捜査官が放ったセリフです。

「Jesus, Mary, and Joseph.」 (わーお! なんてこった!!)

直訳すると「イエス聖母マリア、養父ヨセフ」なんですが、実は驚きを強調する場合に発せられる言い回しなんですね。

なのでここでは「わーお! なんてこった!!」くらいが適当な訳となるかと思います。

でも凄いですよ。

自宅には、あちこちに監視カメラが仕掛けられ、機関銃(しかも可動式)まで備え付けているんですから。

こんなところも男の子にとっては憧れる部分じゃないでしょうか。

少なくとも私はそうです。

隠れ家、銃、トレーラーハウス、などなど男の子のおもちゃ箱みたいなんです。

こんな風に男の子の憧れを刺激されるから、面白い作品に仕上がっているんでしょうね。

ところで冒頭、少年時代のクリスチャンがジグソーパズルをしているシーンがあります。

(裏が灰色一色のピースを裏側からはめてます)

このパズルがモハメド・アリなんです。

もしかして、アリがまだカシアス・クレイと名乗っていた時代、1964年にソニーリストンを倒してヘビー級王座に就いた時のシーンがパズルになっていたように思えましたがどうだったでしょうか。

そういえば本作は2016年の製作ですが、モハメド・アリは2016年に亡くなっているんですよね。。。

こんな何気ないシーンながら印象に残るシーンが多くて、この作品は本当に面白いです。

2.「ザ・コンサルタント」の作品概要

作品概要

作品名:ザ・コンサルタント」(The Accountant)

監督:ギャヴィン・オコナー

出演:ベン・アフレック
アナ・ケンドリック

あとがき

私は本作で初めて、アナ・ケンドリックを知りました。

本作では経理部の地味な女性を演じていましたが、どんどん魅力的になっていったように思えます。

その後、彼女に興味を魅かれ、ピッチ・パーフェクト」(2012)「ピッチ・パーフェクト2」(2015)「バッド・バディ!私と彼の暗殺デート」(2015)と観ています。

他にも是非、観てみたい作品はいくつもありますが、とても魅力的な女優さんです。