居間の暗闇で父は何を思っていたのか...「わらの犬」
本作は1971年製作のアメリカ映画で、日本公開は1972年4月。
サム・ペキンパーの代表作には「ワイルドバンチ」「ゲッタウェイ」「ガルシアの首」「戦争のはらわた」などがあります。
1.居間の暗闇で父は何を思っていたのか
1)再度、観たい映画
映画を観る方にとっては当たり前でしょうけど、私も好きな映画、好みの映画は何度も観ます。
あらすじとかも頭に入っているのに、例えば「あのシーンがもう一度(何度でも・・)観たい」とか、「あのセリフにしびれる」とか、「あの瞬間のあの表情がいいんだよなあ~」とか。
観てない映画は勿論、相当数あって、一生に何本観られるかと考えると「一度観たものはいいじゃないか、でないと他の映画を観る時間がなくなってしまうぞ」という考えもあるでしょうが、いやいや、やはり好みの映画はそれでも何度でも観たいものですよね。
でも、そういったこととは違って「再度、観てみたい」「どんな映画だったか確かめたい」「高校生の時に観たけど大人になった今、改めて観てみたい」というような思いで観てみようかなあと思う作品もあります。
2)テレビのロードショー
中高生の頃は、映画館にもよく通いましたが、テレビ放送も毎週、楽しみにしていました。
当時、放送されていたのは「水曜ロードショー」と「日曜洋画劇場」だったかと思います。
いずれも夜9時からの放送でしたから普通なら家族で観るということになるのでしょうか。
でも家族と一緒に映画を観たという記憶はないんです。
単に記憶が悪いだけかもしれませんが。
3)深夜放送
ある日の深夜、ある映画が観たくて居間に行きました。
深夜なのでもう両親も寝ている時間です。
何時だったでしょうか・・・覚えてはいません。
夜の11時とかですかね。。。
灯りは点けず、暗い居間で、そして音も出したくないのでイヤホンで映画を観ようとしたんです。
まあ親に隠れてこっそり深夜映画を観る・・・わけです。
映画は「わらの犬」(1971)
サム・ペキンパーですよ!
暴力的な映画です!
まあ、なので親には知られたくないなあ・・・という警戒心があったのでしょうね。
「わらの犬」は1972年公開で1975年10月に水曜ロードショーで放送されています。
でも私は深夜に観たという記憶があるので、深夜帯で再放送されたのかもしれませんね。
4)父と二人で
ところが父親がひょっこり居間に入って来ました。
・・・・
「何か言われるかな?」と警戒しましたが、黙ってソファに座るものですから「ありゃ、親父も映画観るのか?!」と内心、驚きながらも、父にも聞こえるようにイヤホンを外しました。
「わらの犬」(Straw Dogs)って2時間近くありますからね?!
長かった~~
沈黙の2時間が・・・
その間、父と会話した記憶もないんです。
2人とも黙って、暗い居間で映画に見入っていました。
でも内心「親父は何考えてるのか?」「もう寝ろと突然言われないか」などと様々な思いが頭の中を駆け巡っていますから、映画に没頭できていたわけではありません。
突然、豹変するダスティン・ホフマンはさすがだったのでしょうけど、それより彼の妻を演じたスーザン・ジョージがセクシーで・・・その印象だけは強くて。
でも、その内容よりもそのシチュエーション、夜中に父親と黙って映画を観ているという緊張感?!、それだけを今でも妙に覚えています。
何だったんだろう・・・あの沈黙の2時間は。
しかし自分にも息子が出来てようやくわかりましたよ。
息子も高校生ともなると、もう得体が知れない存在ですからね。
こっちから話しかけても「うー」とか「あー」とかしか反応しないし・・・
いつも不機嫌そうだし。
あの時の父も高校生の自分を得体の知れない奴と思っていたかもしれません。
話しかける言葉もなかったのかもしれません。
まあ、父も単に「わらの犬」が観たかっただけかもしれませんが。
映画が終わって「もう寝ろよ」くらい言われたかもしれません。
その後も父とこの時のことを話したことはありません。
後にも先にも父と二人で映画を観たという記憶はこれだけです。
小さい時分に怪獣映画に連れて行ってもらった以外は。
ということで「わらの犬」は今、改めて観てみたい映画の一本なんです。
2.「わらの犬」の作品概要
作品概要
作品名:「わらの犬」(Straw Dogs)
監督:サム・ペキンパー
出演:ダスティン・ホフマン
3.あとがき
実は「わらの犬」の女優をゴールディ・ホーンだと勘違いしていました。
どこかの時点で間違ったのでしょうね。
なんとなく顔のイメージが似ているような気もします。
でも、ゴールディ・ホーンはスーザン・ジョージと年代は重なりますが、主にコメディに出ていた女優さんですからね。
スーザン・ジョージはイギリスの女優さんで当時、21歳です。
高校生には刺激強かったでしょうね~?!
「わらの犬」は近々、観直してみますよー