ホラー映画おすすめ 実はホラーではない.....「クワイエット・プレイス」
本作は2018年公開のアメリカのホラー映画です。
宇宙からやって来た怪物、この怪物は盲目なんですが、極めて鋭敏な聴覚を有しており、それを利用して人間を食い散らかしていて、そんな荒廃した世界で生き延びていたのがアボット一家との対決を描いた作品です。
多くのシーンで手話が使われていますよ。
「クワイエット・プレイスPARTII」(A Quiet Place : Part II)の予告編を観て、とても興味を魅かれ、普段ホラー映画は観ない私なんですが、本作は観てみようと思った次第なんです。
1.実はホラーではない映画「クワイエット・プレイス」
1)突っ込みどころは満載
本作ですが実は突っ込みどころは満載なんです。
例えば、「冒頭のシーンで何故、飛行機のおもちゃの乾電池をそのままにしてしまったか?」
「家族で一列になって歩くシーンで何故、末っ子に最後尾を歩かせたのか?」
「こんな最悪の状況下、なぜ子どもをもうけたのか?」
「奥さんの出産予定日が近いというのに、なぜ父と息子は出掛けたのか?」
他にも細かい部分で疑問に思うシーンはいくつもありました。
が、しかし、細かい点については目をつぶるとしましょう。
それらを置いても、この作品自体、とても魅力に溢れ、また新鮮な印象を残してくれたと感じています。
「こんな最悪の状況下、なぜ子どもをもうけたのか?」の疑問についてですが、これはやはり一人子どもを亡くしたという事実に要因があるのじゃないかとは思いました。
「命を失ったからこそ、新たな命を授かろうとする、新たな希望を持とうとする、ということはあるのかなあ」という風には思いましたね。
2)父子は何故このタイミングで出掛けたのか
以下ネタバレあります。
最大の疑問は、「奥さんの出産予定日がもう近いというのに、なぜそんなタイミングで父と息子は魚釣りに出掛けてしまったのか?」という点でした。
一つの答えは、食料がなくなってきたため、仕方なく魚を獲りに出かけたのでは、ということです。
でもそれだと二人で出掛けることはないですよね。
もしかすると父は死の予感を抱いていたのかもしれませんね。
怪物には既に襲われた過去がありますし、この一家の存在は怪物に認知されていたようです。
そこで次に怪物に襲われた場合には、父は命を落とすかもしれないと考えたのかもしれません。
赤ちゃんが生まれますから、そこが最大の危機でしょうからね。
そこで自分が死んだ後のことを託そうと息子を釣りに連れ出して、安全な滝のそばで話をすることにしたのかなあと考えました。
(どんな小さな音にも反応する怪物ですが、滝のような自然界の音には反応しないようです)
魚釣りの技術も伝えないといけませんからね。
関係がぎくしゃくしていた娘のためには、父は一生懸命、補聴器を手作りしていましたが、息子にはこの先、家族を守る立場となる人間として直接、肉声で伝えたいことがあったような気がしましたよ。
ホラー映画に分類されている映画なので、そのつもりで本作を観始めましたが、途中から、これは父と息子の、そして父と娘の物語だよなあ、という視線になっていましたね。
ホラー映画と分類してしまうと、私みたいにハナっから観ようとしない人間もいますから、そういう意味ではちょっと勿体ない気もしました。
勿論、主演のエミリー・ブラントは素敵でしたが、私には、終始、どこか哀しそうな表情を見せていた父(演じるのはジョン・クラシンスキー)が強く印象に残りました。
斬新でとても面白い映画でした。
2.「クワイエット・プレイス」の作品概要
作品概要
3.あとがき
奥さんの「出産予定日」のことは英語では、 due date なんですね。
due date というとこれまで、「手形などの満期日、支払日」また「締め切り日」という意味しか知りませんでしたので、この「出産予定日」というのはちょっと新鮮でした。