法廷ドラマと思っているとちょっと違いますよ.....「告発」
アルカトラズ刑務所を閉鎖に追い込んだという実話に基づく映画ということなんですが、史実にどこまで忠実に製作されたのかという点に関しては疑義があるようです。
アルカトラズ島は南北戦争(1861‐1865)の前後から監獄としての役割も果たすようになり、その後、本格的な刑務所へと転換し、1934年、アルカトラズ連邦刑務所となりますが、その後、1963年に閉鎖されました。
1.法廷ドラマと思っているとちょっと違いますよ
1)覆水盆に返らず
自分の迂闊なところに時々、腹立つんですよね。
先日もT字カミソリで顔を剃っていた時、うっかりして少し切れてしまいわずかながら出血しました。
普段はシェーバーで髭を剃ってますが、たまに顔を剃る際は、カミソリを使うんです。
ちょっとした力加減なんですよね。
「あっ」と思ったらもう遅い・・・
自分の迂闊さ、うっかりミスに本当に腹立ちます。
迂闊というか粗忽というか、慌てるし、慎重さに欠け、何事も面倒なのでいくつものことを同時にこなそうとして却ってミスってしまう。
テーブルの缶ビールをひっくり返す、つまみのピーナッツをぶちまける、なんてしょっちゅうなんです。
あるいは部屋の片づけをしていて、うっかりゴミ箱を蹴っ飛ばしてしまって、その片づけにまた時間を取られるとか・・・
「覆水盆に返らず」です・・・
自分でやってしまったことなんで、自分に腹立てるしかありません。
自分で自分に毒づいて終わりです。
2)鏡にあたる副所長
ゲイリー・オールドマン演じる刑務所副所長が鏡を見ながら髭をあたっているシーンで彼もうっかり顔を切ってしまいます。
彼が使うのは床屋さんが使うような刃の長いタイプの髭剃りナイフです。
瞬間、彼は「クソっ」と目の前の鏡を叩き壊してしまいます。
この副所長の性格をよく現わしているシーンです。
気が短く癇癪もち、しかも冷酷で残忍な人間に描かれています。
一方、家族のことを一番に気にかけている人間でもあり、脱獄事件など起こされると責任上、彼自身が職を失ってしまいかねない、と非常に警戒し、そのため再発防止のために過酷な更生措置を施すんですね。
この鏡にあたるシーンは副所長の人間性を一瞬にして表していて、印象深いです。
3)法廷ドラマだと思っていたが
本作のタイトルは「告発」
てっきり法廷ドラマだと思っていましたが、法廷での論戦を描いているというよりは刑務所内部のシーンの比重が大きいです。
そして囚人演じるケヴィン・ベーコンの怪演を観る映画といってもいいくらい、ケヴィン・ベーコンが凄いです。
人間のもろさと、一方、精神の強さを表していて本作では際立っていました。
演技が素晴らしいのは言うまでもなく、彼、声がいいですよね。
ちょっとザラっとしてて引っ掛かりがあるような特徴ある声をしているのですが、本作での絞り出すような悲痛な叫びに本当にマッチしているなと思いました。
どうしても「フットルース」(1984)のイメージが離れなかったのですが、こんなに凄い役者だったんですね。
恐れ入りました。。。
本作では閉鎖的な刑務所の体質、囚人への非人道的な扱い、などをとても濃く重く描いています。
どこまで史実に忠実なのかはわかりませんが、私はフィクションとして割り切って観ても、とても見応えのある良品だと思いましたよ。
2.「告発」の作品概要
作品概要
作品名:「告発」(Murder in the First)
1995年公開
監督:マーク・ロッコ
出演:クリスチャン・スレーター
ケヴィン・ベーコン
ゲイリー・オールドマン
3.あとがき
最近、映画でもテレビでも、またはコマーシャルでも俳優・タレントたちの声が気になってるんです。
いい声、渋い声、深みのある声・・・一言でいうと魅力ある声なんですけど、声がいいとその人に対する印象が全然違ってきますからね。
1974年の「ゴッドファーザーPARTII」で若き日のドン・ヴィトー・コルレオーネを演じたロバート・デ・ニーロは「ゴッドファーザー」(1972)で晩年のヴィトーを演じたマーロン・ブランドを真似た声を出していましたが、渋かったですねぇ・・・今でも強烈に印象に残っています。
そういえばケヴィン・ベーコンは「ア・フュー・グッドメン」においても、その声が、合理的で理知的な検察官役に合うなあ、と思って観てましたよ。