映画は心の筋トレ

子どものころ観たゴジラ映画に始まって今も観続けている映画の備忘録

グラン・トリノ あのセリフ「No No No...」って

昨年10月に観た「グラン・トリノ

 

久しぶりに2回目視聴。

 

何か映画観たいなあと思った際に、あの静かな、そして男のケジメの付け方を描いた映画をまた観たくなったわけです。

 

味わい深かったですね。

自分もまた歳をとったからなのか。

 

ウオルト・コワルスキーのあの自分の人生への決着の付け方はしみいりました。

 

今回一つ気が付いたことがあります。

スーが陵辱されて家に戻ってきた姿を見て自宅に引き返すコワルスキーがつぶやきます。

「No No No No ........」

ここ日本語字幕はなかったんですよ。

 

どういう日本語が適当なんでしょうね。

と思って画面に釘付けになってしまいました。

 

「違う違う違う・・・」? それとも

「ダメだダメだダメだ・・・」?

「クソっクソっクソっ・・・」か?

 

衝撃的なラストは分かっていてもグッと来ましたが、このノーノーノーの繰り返しの場面。

 

この場面こそ今回は最も心に迫るものを感じましたよ。

 

いい映画は何度も観たくなるし、今回みたいに一度では気が付かない部分を発見したりもして、何度も味わいたいものですよね。

 

自分ももっと歳をとってくるとまた違った感慨が湧いてくるのか、なんかそういうのも楽しみになってきました。

 

グラン・トリノ」(Gran Torino)

2008年 アメリカ映画

監督・プロデューサー・主演はクリント・イーストウッド

 

 

 

 

居間の暗闇で父は何を思っていたのか...「わらの犬」

本作は1971年製作のアメリカ映画で、日本公開は1972年4月。

サム・ペキンパーの代表作には「ワイルドバンチ」「ゲッタウェイ」「ガルシアの首」「戦争のはらわた」などがあります。

1.居間の暗闇で父は何を思っていたのか

1)再度、観たい映画

映画を観る方にとっては当たり前でしょうけど、私も好きな映画、好みの映画は何度も観ます。

あらすじとかも頭に入っているのに、例えば「あのシーンがもう一度(何度でも・・)観たい」とか、「あのセリフにしびれる」とか、「あの瞬間のあの表情がいいんだよなあ~」とか。

観てない映画は勿論、相当数あって、一生に何本観られるかと考えると「一度観たものはいいじゃないか、でないと他の映画を観る時間がなくなってしまうぞ」という考えもあるでしょうが、いやいや、やはり好みの映画はそれでも何度でも観たいものですよね。

でも、そういったこととは違って「再度、観てみたい」「どんな映画だったか確かめたい」「高校生の時に観たけど大人になった今、改めて観てみたい」というような思いで観てみようかなあと思う作品もあります。

2)テレビのロードショー

中高生の頃は、映画館にもよく通いましたが、テレビ放送も毎週、楽しみにしていました。

当時、放送されていたのは「水曜ロードショー」と「日曜洋画劇場」だったかと思います。

水曜が水野晴郎さんで日曜は淀川長治さん。

いずれも夜9時からの放送でしたから普通なら家族で観るということになるのでしょうか。

でも家族と一緒に映画を観たという記憶はないんです。

単に記憶が悪いだけかもしれませんが。

3)深夜放送

ある日の深夜、ある映画が観たくて居間に行きました。

深夜なのでもう両親も寝ている時間です。

何時だったでしょうか・・・覚えてはいません。

夜の11時とかですかね。。。

灯りは点けず、暗い居間で、そして音も出したくないのでイヤホンで映画を観ようとしたんです。

まあ親に隠れてこっそり深夜映画を観る・・・わけです。

映画は「わらの犬」(1971)

サム・ペキンパーですよ!

暴力的な映画です!

まあ、なので親には知られたくないなあ・・・という警戒心があったのでしょうね。

わらの犬」は1972年公開で1975年10月に水曜ロードショーで放送されています。

でも私は深夜に観たという記憶があるので、深夜帯で再放送されたのかもしれませんね。

4)父と二人で

ところが父親がひょっこり居間に入って来ました。

・・・・

「何か言われるかな?」と警戒しましたが、黙ってソファに座るものですから「ありゃ、親父も映画観るのか?!」と内心、驚きながらも、父にも聞こえるようにイヤホンを外しました。

わらの犬」(Straw Dogs)って2時間近くありますからね?!

長かった~~

沈黙の2時間が・・・

その間、父と会話した記憶もないんです。

2人とも黙って、暗い居間で映画に見入っていました。

でも内心「親父は何考えてるのか?」「もう寝ろと突然言われないか」などと様々な思いが頭の中を駆け巡っていますから、映画に没頭できていたわけではありません。

突然、豹変するダスティン・ホフマンはさすがだったのでしょうけど、それより彼の妻を演じたスーザン・ジョージがセクシーで・・・その印象だけは強くて。

でも、その内容よりもそのシチュエーション、夜中に父親と黙って映画を観ているという緊張感?!、それだけを今でも妙に覚えています。

何だったんだろう・・・あの沈黙の2時間は。

しかし自分にも息子が出来てようやくわかりましたよ。

息子も高校生ともなると、もう得体が知れない存在ですからね。

こっちから話しかけても「うー」とか「あー」とかしか反応しないし・・・

いつも不機嫌そうだし。

あの時の父も高校生の自分を得体の知れない奴と思っていたかもしれません。

話しかける言葉もなかったのかもしれません。

まあ、父も単に「わらの犬」が観たかっただけかもしれませんが。

映画が終わって「もう寝ろよ」くらい言われたかもしれません。

その後も父とこの時のことを話したことはありません。

後にも先にも父と二人で映画を観たという記憶はこれだけです。

小さい時分に怪獣映画に連れて行ってもらった以外は。

ということで「わらの犬」は今、改めて観てみたい映画の一本なんです。

2.「わらの犬」の作品概要

作品概要

作品名:「わらの犬」(Straw Dogs)

監督:サム・ペキンパー

出演:ダスティン・ホフマン

スーザン・ジョージ

3.あとがき

実は「わらの犬」の女優をゴールディ・ホーンだと勘違いしていました。

どこかの時点で間違ったのでしょうね。

なんとなく顔のイメージが似ているような気もします。

でも、ゴールディ・ホーンスーザン・ジョージと年代は重なりますが、主にコメディに出ていた女優さんですからね。

スーザン・ジョージはイギリスの女優さんで当時、21歳です。

高校生には刺激強かったでしょうね~?!

わらの犬」は近々、観直してみますよー

やんちゃなこどもは秘密基地を作る.....「ぼくらの七日間戦争」

本作は1988年公開の角川映画作品です。

宮沢りえの映画デヴュー作で、彼女は、日本アカデミー賞の新人賞を受賞しています。

1.やんちゃなこどもは秘密基地を作る

1)いかだで川に漕ぎ出す

私が小学校1,2年生の頃の話です。

そうですね、もう何十年も昔の話になりますか・・・

当時、学校のそばを川が流れていて、その川は校歌にもうたわれていました。

仲の良い友人何人かと、いかだでその川に漕ぎ出したんです。

遠い昔のことなので記憶が詳細に残っているわけではありません。

どうやって「いかだ」を作ったのか。
本当に自分たちだけの力で作ったのか。
材料はどうしたのか。
木の板一枚くらいのものだったのじゃないのか・・・

が、「いかだ」(らしきもの?)で川に出たのは確かです。

大きな川の本流ではなく、小さな支流だったかもしれません。

あるいは浅瀬にちょっと浮かばせたくらいのことかもしれません。

どこまで漕ぎ出したのか、櫂はどうしたのか、無事戻れたのか。

どうだったでしょう・・・

でも、今、生きていますから、きっと無事だったのでしょう?!

明るい昼間ではなく夕方くらいの薄暗い時刻だったように思います。

学校終わってからの時間だったのでしょうね、きっと。

誰が一緒だったかな・・・

いつものメンバーだったはずです。

ガキ大将もいました。

いじめられてすぐ泣くような弱虫だった自分をいつも守ってくれてた頼もしい奴です。

同級生ながら兄貴みたいな存在でした。
顔も子どもっぽくなく、いかつい顔してましたね。

学校終わって家への帰り道はいつも同じメンツでしたから、きっとその連中で悪だくみして「いかだで川に漕ぎ出す」ことになったのでしょうね、きっと。

2)秘密基地は男のあこがれ

その彼らとは一度ですが、親に隠れて一晩過ごそうとしかけたことがあります。

テントを建てようとしたのか、誰かの部屋に籠ろうとしたのか、そのあたりも覚えがないのですが、皆でその作戦会議をしたことは確かなんです。

結果、実現しませんでしたが、なんでやらなかったのかな?

親に見つかったのかもしれませんし、誰かがおじけづいたのかもしれませんね。

「基地ごっこ」みたいな遊びは男の子は大好きですよね。

そして親に知られない秘密基地を作るみたいな・・・

でもこれって大人になっても変わらないんですよ。

家族と過ごす家ではなく自分だけの部屋、秘密部屋をどこかに持ちたい、というのは男の変わらない夢じゃないでしょうか。

そうそう「男の隠れ家」ってやつです。

ところで私は小学3年生の終わりに転校したので、あの当時の彼らとはその後、会っていません。

3)ぼくらの七日間戦争

本作は、中学校1年の男子生徒たちが学校や教師に反発して、廃工場に立てこもる話です。

日用品や食料を調達して立てこもります。

電気に詳しい子がいたり、バイクを乗り回す子がいたり、突出した才能ある子がいて、着々と自分たちの秘密基地を作り上げていくわけです。

そこに心配した女子たちがまた訪ねて来てくれたりするわけですが、こういうのって男の子の憧れのストーリーですよね。

そしてその廃工場の地下から戦車が出てきます。

戦車ですからね。

なんでそこに戦車なんかがあったのかの説明はありません。

でも面白いです。

戦争自体は勿論、否定しますが、戦車みたいな乗り物はこれまた男子の憧れです。

メカですよメカ・・・

飛行機のコックピットもそうですが、機器類が一杯あってそれをカチャカチャやって大きな乗り物を動かすのって、憧れなんですよ。

そのような男の子の憧れが一杯詰まった映画なんですよね。

勿論、本作で映画デビューした宮沢りえさんは、溌剌として魅力に溢れていました。

2.「ぼくらの七日間戦争」の作品概要

作品概要

作品名:「ぼくらの七日間戦争

監督:菅原比呂志

出演:宮沢りえ

3.あとがき

本作を観る前は、今更、中学生たちの映画なんて・・・という気持ちも内心あったんです。

でも観て良かったです。

映画を観ている間、あの頃の自分に戻れました。

断片的ながら、あの楽しい日々を思い出してしまいましたよ・・・

ホラー映画おすすめ 実はホラーではない.....「クワイエット・プレイス」

本作は2018年公開のアメリカのホラー映画です。

宇宙からやって来た怪物、この怪物は盲目なんですが、極めて鋭敏な聴覚を有しており、それを利用して人間を食い散らかしていて、そんな荒廃した世界で生き延びていたのがアボット一家との対決を描いた作品です。

多くのシーンで手話が使われていますよ。

クワイエット・プレイスPARTII」(A Quiet Place : Part II)の予告編を観て、とても興味を魅かれ、普段ホラー映画は観ない私なんですが、本作は観てみようと思った次第なんです。

1.実はホラーではない映画「クワイエット・プレイス

1)突っ込みどころは満載

本作ですが実は突っ込みどころは満載なんです。

例えば、「冒頭のシーンで何故、飛行機のおもちゃの乾電池をそのままにしてしまったか?」

「家族で一列になって歩くシーンで何故、末っ子に最後尾を歩かせたのか?」

「こんな最悪の状況下、なぜ子どもをもうけたのか?」

「奥さんの出産予定日が近いというのに、なぜ父と息子は出掛けたのか?」

他にも細かい部分で疑問に思うシーンはいくつもありました。

が、しかし、細かい点については目をつぶるとしましょう。

それらを置いても、この作品自体、とても魅力に溢れ、また新鮮な印象を残してくれたと感じています。

「こんな最悪の状況下、なぜ子どもをもうけたのか?」の疑問についてですが、これはやはり一人子どもを亡くしたという事実に要因があるのじゃないかとは思いました。

「命を失ったからこそ、新たな命を授かろうとする、新たな希望を持とうとする、ということはあるのかなあ」という風には思いましたね。

2)父子は何故このタイミングで出掛けたのか

以下ネタバレあります。

最大の疑問は、「奥さんの出産予定日がもう近いというのに、なぜそんなタイミングで父と息子は魚釣りに出掛けてしまったのか?」という点でした。

一つの答えは、食料がなくなってきたため、仕方なく魚を獲りに出かけたのでは、ということです。

でもそれだと二人で出掛けることはないですよね。

もしかすると父は死の予感を抱いていたのかもしれませんね。

怪物には既に襲われた過去がありますし、この一家の存在は怪物に認知されていたようです。

そこで次に怪物に襲われた場合には、父は命を落とすかもしれないと考えたのかもしれません。

赤ちゃんが生まれますから、そこが最大の危機でしょうからね。

そこで自分が死んだ後のことを託そうと息子を釣りに連れ出して、安全な滝のそばで話をすることにしたのかなあと考えました。

(どんな小さな音にも反応する怪物ですが、滝のような自然界の音には反応しないようです)

魚釣りの技術も伝えないといけませんからね。

関係がぎくしゃくしていた娘のためには、父は一生懸命、補聴器を手作りしていましたが、息子にはこの先、家族を守る立場となる人間として直接、肉声で伝えたいことがあったような気がしましたよ。

ホラー映画に分類されている映画なので、そのつもりで本作を観始めましたが、途中から、これは父と息子の、そして父と娘の物語だよなあ、という視線になっていましたね。

ホラー映画と分類してしまうと、私みたいにハナっから観ようとしない人間もいますから、そういう意味ではちょっと勿体ない気もしました。

勿論、主演のエミリー・ブラントは素敵でしたが、私には、終始、どこか哀しそうな表情を見せていた父(演じるのはジョン・クラシンスキー)が強く印象に残りました。

斬新でとても面白い映画でした。

2.「クワイエット・プレイス」の作品概要

作品概要

3.あとがき

奥さんの「出産予定日」のことは英語では、 due date なんですね。

due date というとこれまで、「手形などの満期日、支払日」また「締め切り日」という意味しか知りませんでしたので、この「出産予定日」というのはちょっと新鮮でした。

フィンランドへ留学する娘のためにも.....「俺はまだ本気出してないだけ」

本作は、小学館「月刊IKKI」に連載されていた、青野春秋(あおのしゅんじゅう)原作の漫画を実写化したものなんです。

主人公の大黒シズオ40歳が、何のプランもなく会社を辞め、突然、漫画家を目指すことから様々な事件を巻き起こすコメデイ作品です。

私、実は、福田雄一監督作品は初めてなんです。

ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(2008)の脚本は彼ですね。

1.フィンランドへ留学する娘

1)建築家を目指し留学しようとする娘

シズオの娘、鈴子(橋本愛)が、あまりにもいい子なので、これはきっと何か闇を抱えているか、どこかで本性を現わすんじゃないかとずっと思って観てました。

でも裏切られましたね。

最後の最後までいい子なんです。

こんな娘がいるのか?というくらい。

風俗でバイトしていて父シズオと鉢合わせするのですが、彼女がバイトしていたのも、家に固定収入がないからですからね。

シズオに「2万円貸してくれ」と頼まれても「いいよっ」とすんなり貸してしまいます。

父シズオがグータラ人間に描かれているので、その対比が印象的でした。

グレそうなのに全然、そういう気配がないんです。

娘の鈴子は建築の勉強のためにフィンランドへ留学したいと考えているんですね。

それが明らかになるのはかなり終盤になってからのことです。

フィンランドは教育水準の高い国として知られていますが、建築の分野ではどうなんでしょう?

建築の分野では、世界的な建築家・デザイナーのアルヴァ・アールトという人を輩出した国なんですね。

北欧家具というのも有名ですし、その分野の水準は高いのでしょうね。

彼女がなぜ建築を目指すのかはわからないのですが、でも父シズオを見ていて、こんな風になってはいけないと思ったか?

はたまた、40歳を過ぎて家族の迷惑省みず自分の夢を実現しようと悪戦奮闘する父を誇りに思ったか?

どちらでしょうね?

私は後者だと思いたいです。

父の姿を見て、自分も夢に向かって邁進しようと考えたのだと・・・

でも、そんな健気な一人娘に留学したいと言われたら、お父さん頑張るしかないでしょ・・・

2)40歳でまだ本気出してないオヤジ

でもグータラなんですよ、シズオが。

家族(父の志郎と娘の鈴子)の前でも平気で朝からTVゲームに興じているし。

普通、父親とか娘の前だともうちょっと格好つけるでしょ?

それが全然、平気ですから、このシズオは。

あきれるほど傍若無人です。

でもだからこそ、こんなバカげた挑戦ができたのかもしれません。

周りの目を気にしてたら出来ないことですよね。

シズオですが、しかし、徐々に変わっていきます。

いつのまにか真剣に漫画に没頭するようになっていきます。

何かどこかで劇的に変化するわけではないんですよ。

でもこの少しずつ彼が変化していく様が描かれていてよかったですね。

3)いつまでたっても子どもは子ども

一番笑えたシーンは序盤です。

シズオの父、志郎(石橋蓮司)がシズオに向かって「お前はバカなんだなー」と、しみじみ泣くシーン。

ここ思いっきり笑えましたよ。。。

「我が息子はホントにバカだったんだ・・・」とハタと気づき愕然とした親の悲哀が現れていて、でも滑稽で、すごくおかしかったです。

でも「お前なんか好きにしろ!」とか言って突き放したりしないんですよ。

いつまでも小言を言い続けるシズオの父、志郎なんです。

そんな父親に対してシズオも逃げたりしません。

なんせ、自分は出来る、自分は正しい、と信じてますからね。

なので結果、二人のコミュニケーションはちゃんと成立しているように思えました。

ある意味、いい親子関係なのかもしれません。

4)ラッパ飲みさせていただきやす

彼に触発されたか、周りの人間も変化していきます。

友人のサラリーマン宮田(生瀬勝久)もそうですし、なかなか仕事が続かない金髪(山田孝之)もそう・・・

この3人がいつも集まる居酒屋があるのですが、シズオが遅れて入って来て、「ラッパ飲みさせていただきやす。」と言うなり、瓶ビールをラッパ飲みするシーン。

瓶ビールをラッパ飲み?!

ありえないでしょ、いまどき。

いや、良かったですよ、このシーン。

カッコつけてなくって、本気で生きようと俺は奮闘してるんだって感じが出てました。

私のお気に入りのシーンになりました。

2.「俺はまだ本気出してないだけ」の作品概要

作品概要

作品名:「俺はまだ本気出してないだけ」

監督:福田雄一

出演:堤真一

3.あとがき

シズオを演じた堤真一ですが、原作漫画における主人公のイメージとはかなりかけ離れています。

普段かっこいい役の似合う堤真一ですが、本作では、変な?もじゃもじゃ頭に無精ひげ、でも、とてもいい味出していますよ。

どんな漫画なのか興味が湧き、全5巻セットをつい購入してしまいました・・・

あに図らんや もう一転するとは.....「12人の優しい日本人」

本作は1957年シドニー・ルメットによるアメリカ映画十二人の怒れる男」(12 ANGRY MEN)へのオマージュとして、「もし日本にも陪審制があったら?」という仮定のもと製作された作品です。

本家と同様にキャラの立った12名の陪審員が終始、一つの部屋の中で繰り広げる会話劇です。

1.陪審員を描いた日本映画

1)だるい展開が俄然、面白くなる

正直、3分の1あたりまでの展開はだるく感じました。

冒頭、ドリンクをオーダーする場面で、それぞれの陪審員たちの個性を現わしているのでしょうけど、ここはちょっとやり過ぎ、と感じましたね。

現実、こんなに様々なメニューを銘々がオーダーするなんてないでしょう?

例えば、「ヤクルト」とか。。。オーダーしないですよね、普通。

11名全員、無罪と意見表明したところでたった1人、2号陪審員が有罪を主張し始めます。

でも彼、皆に「議論しましょうよ、議論しましょう・・」と言うばかり。

でも、自分以外は全員反対、という状況でそこまで自己主張できるものでしょうか?

それも初めて出会った知らない人間ばかりの中で。

それこそ日本人が・・・とやや疑問に思いました。

またこの2号陪審員の「とにかく議論しましょう」一点張りの主張にはちょっと食傷気味といった感がありましたね。

このあたりで「こんな調子の映画なの?」「ちょっとだるいなあ・・・」とやや落胆し始めたのですが、しかし、2人目の有罪を主張する人物(陪審員9号)が現れてから俄然、面白くなってきますよ。

2)結局、最強だったのは

最初から最も真実に近づいていたのが10号の中年女性、演じるは林美智子さんでした。

でも彼女、豊川悦司演じる陪審員11号のサポートを得ないとろくに意見表明もできなかったんですよ。

女性の直感とでも言うのでしょうかね。

てこでも動かない、と言ったらよいでしょうか。

理屈は通じませんよ。

かといってガンガン自説を主張するわけでもないんです。

一見、おしとやかで弱々しそうなのに、誰に何と言われても頑として自分の意見は曲げません。

こういう人って現実にいそうなんです。

観ていてちょっとイラっとしてしまいます。

だけどこういうのが一番手ごわい相手ではないでしょうか。

本作では同じようなタイプの中年男性と結果、タッグを組む形になりましたが、最強タッグでしたよね。

そこに論理的な、弁の立つ、豊川悦司演じる11号がようやく参入してきて終盤、盛り上がってきます。

3)あに図らんや もう一転するとは

以下ネタバレあります。

12名のうち11名全員が無罪を主張、そこで1名が有罪を主張し、全員を納得させ、有罪へと導いていく。

そういうストーリーなのかと終盤までは思っていました。

ところがどっこい、話はそこで終わりません。

もう一転するんですよね。

これは予想外でした。

「おーっと! そう来たか~!!」という感じ。

これがあるなら、ドリンクオーダーのシーンなど省いて、前半もう少しテンポよく進めて、そして、二転三転・・・と進めたほうが、もっとインパクトあって良かったんじゃないでしょうかね、と思いましたよ。

この部分、本家のアメリカ映画にはなかった展開でとても面白いです。

感心しました。

ですから、前半をもっと凝縮してもよかったかなあという思いですね。

2.「12人の優しい日本人」の作品概要

作品概要

作品名:「12人の優しい日本人

監督:中原 俊

脚本:三谷幸喜東京サンシャインボーイズ

出演:豊川悦司

3.あとがき

豊川悦司は本作で注目され始めたらしいですね。

終盤、他の陪審員と握手した時、彼の手の大きさに驚きました。

彼、身長186cmもあるのですね。

理知的でまたミステリアスな雰囲気もあり、印象強かったですよ。

それから10号陪審員を演じた林美智子さん。

登場してきた時から、見覚えのある顔・・・と、ずっと思ってたのですが、そう、彼女、NHK連続テレビ小説うず潮」(1964)で主人公の林芙美子(「放浪記」など)を演じた方でした。

いやそれにしても面影というのは残るものなんですね。懐かしいです。

アクション映画 おすすめは、アクション映画らしくないアクション映画.....「ザ・コンサルタント」

The Accountant (会計士)と呼ばれている男クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)はマフィアなど世界中の様々な犯罪組織の会計業務(裏帳簿)を請け負っているが、「たまには合法的な仕事もしてみよう」とある企業から依頼された使途不明金に関する会計調査の仕事を請け負う。
クリスチャンは一晩のうちに使途不明金の存在を突き止めるのだが、突然、その調査は打ち切られてしまい、その後、彼は、2人の男に襲われ、これを返り討ちにするのだが・・・というストーリー。

1.アクション映画らしくないアクション映画

1)職業は会計コンサルタント、本業は・・・

予告編でも謳われているように本作は、「職業は会計コンサルタント、しかし本業は腕利きの殺し屋」という表と裏、二つの顔を持つ男が企業の暗部を抉り出し、悪の組織を叩き潰す、という痛快アクション映画ということになっています。

でも彼、殺し屋ではないし、また本作はアクション映画というわけでもないですよね。

確かに、ベン・アフレック演じるクリスチャン・ウルフはインドネシアの格闘技シラットの達人で、1マイル先の的を射抜くなど長距離射撃も凄いんです。

シラットやガンアクションは随所で見せてくれるのですが、でもアクション自体そう派手でもありません。

むしろ地味と言ってもいいくらい、なので実践的と言えるのかもしれませんが。

また、彼が敵を倒す、もしくは敵を襲うのには必ず理由があってのことで、誰かに依頼されて報酬を受け取るヒットマン・殺し屋ではないようです。

それよりも「彼の生い立ち」「ある特性を持っているゆえの生きにくさ・不器用さ」「父親や弟との関わり」などが描かれています。

つまり「彼がどうして今のようなスタイルの生き方をせざるを得なかったのか」ということが描かれているドラマという風に私には思えました。

しかし、ある男の生き様を描いたドラマだとしても、そこに説教臭さは全くありません。

むしろドライで、淡々と、かつテンポよく進んでいきます。

クリスチャン・ウルフがほとんど無表情で抑揚のない喋り方をするので、余計に淡々とした感じが強調されています。

淡々と敵の額を撃ち抜きますからね・・・

2)トレーラーハウス

面白いのは様々な小道具?が登場してくるところでしょうか。

彼の隠し部屋としてのトレーラーハウスはとても興味深いです。

様々な銃器、高級スーツ、札束、金(Gold Bar)、絵画(報酬として支払われた)などが整然と並べられています。

こういうのって、でも一種、男の憧れじゃないでしょうか?

私は憧れます・・・。

隠れ家があり、凄腕で、大金や資産、武器までもそこに隠し持っている、という設定が。

このトレーラーハウスを見たデイナ(アナ・ケンドリック)の「いったい何なの、これは?」という問いに、

「PanAmerica, Airstream 34feet 7inches long, 8feet 5inches wide」と車の概要そのものを真面目に答えるクリスチャンが可笑しいです。

デイナは決して、そんなことは聞いていないのに、彼の特性ゆえに、そんな問答になってしまうところが、可笑しくてちょっと哀しい部分でした。

3)Jesus, Mary, and Joseph

この映画はもう何度か観ているということもあって、今回は英語字幕で観てみました。

気になる表現はいくつもあるのですが、私のお気に入りがこちら。

クリスチャンが自宅に備え付けていた可動式の機関銃を、捜査に来たFBIが見つけた瞬間に、FBI捜査官が放ったセリフです。

「Jesus, Mary, and Joseph.」 (わーお! なんてこった!!)

直訳すると「イエス聖母マリア、養父ヨセフ」なんですが、実は驚きを強調する場合に発せられる言い回しなんですね。

なのでここでは「わーお! なんてこった!!」くらいが適当な訳となるかと思います。

でも凄いですよ。

自宅には、あちこちに監視カメラが仕掛けられ、機関銃(しかも可動式)まで備え付けているんですから。

こんなところも男の子にとっては憧れる部分じゃないでしょうか。

少なくとも私はそうです。

隠れ家、銃、トレーラーハウス、などなど男の子のおもちゃ箱みたいなんです。

こんな風に男の子の憧れを刺激されるから、面白い作品に仕上がっているんでしょうね。

ところで冒頭、少年時代のクリスチャンがジグソーパズルをしているシーンがあります。

(裏が灰色一色のピースを裏側からはめてます)

このパズルがモハメド・アリなんです。

もしかして、アリがまだカシアス・クレイと名乗っていた時代、1964年にソニーリストンを倒してヘビー級王座に就いた時のシーンがパズルになっていたように思えましたがどうだったでしょうか。

そういえば本作は2016年の製作ですが、モハメド・アリは2016年に亡くなっているんですよね。。。

こんな何気ないシーンながら印象に残るシーンが多くて、この作品は本当に面白いです。

2.「ザ・コンサルタント」の作品概要

作品概要

作品名:ザ・コンサルタント」(The Accountant)

監督:ギャヴィン・オコナー

出演:ベン・アフレック
アナ・ケンドリック

あとがき

私は本作で初めて、アナ・ケンドリックを知りました。

本作では経理部の地味な女性を演じていましたが、どんどん魅力的になっていったように思えます。

その後、彼女に興味を魅かれ、ピッチ・パーフェクト」(2012)「ピッチ・パーフェクト2」(2015)「バッド・バディ!私と彼の暗殺デート」(2015)と観ています。

他にも是非、観てみたい作品はいくつもありますが、とても魅力的な女優さんです。