映画は心の筋トレ

子どものころ観たゴジラ映画に始まって今も観続けている映画の備忘録

「悪女/AKUJO」どうやって撮ったの? 目が回るほどのアクションシーン

これまで、韓国映画というのはほとんど観たことがありません。

が、この「悪女」予告編で観たアクションシーンに惹かれて鑑賞してみました。

いや、もう途中から目が回る感じでくらくらしてしまいました。

それだけアクションシーンのスピード感も素晴らしかったし、またどうやって撮影しているんだろう?と思わせるその撮影手法に振り回されてしまった、というところでしょうか。

ストーリー自体は過去と現在を行ったり来たりするためか、若干(いや、かなり)ややこしく、あまり興味を持てなかったですね。

またラブストーリーというかメロドラマのようなパートがやや冗長でうんざり。

一人目の結婚相手も二人目もプロ意識に欠けるんじゃないか?

と、まあまあ、そんなことはどうでもよくて、この映画の魅力は何と言ってもアクションシーンにあり、ですね。

1.主人公スクヒのアクション

1)対50人

冒頭いきなり7分間、50人以上と戦うシーンで始まるのですが、そこから目が離せません。

どぎつい色のビル内部の細長い廊下で撃ち合うシーン。

相手は多勢なのだが場所が狭いため相手も結局、一人でしかスクヒに向かってこれないんです。

このシーン、宮本武蔵が京の吉岡道場との決戦で、田んぼのあぜ道に敵を誘い込み、そのあぜ道が狭いため、敵も一人ずつでしか武蔵に向かってこれない、という場面を思い出しましたよ。

秀逸なのが、途中、階段から飛び降りて、ひざで相手を倒すシーン。

このあたりはすべて本人からの目線で撮影されているため、自分が階段を飛び降りたかのように錯覚してしまうほど。

ジェットコースターで頂点から一気に下る瞬間のように、頭がくらっとしてしまいました。

この本人からの目線での撮影ですが、鏡に本人スクヒの顔が映ったと思った瞬間、鏡に顔をぶつけられるのですが、この瞬間、第三者の目線に切り替わります。

ここ、一瞬のことでこちらの頭が切り替わらず「えっえっ?」という感じで、唖然・・・このシーンが一番、印象に残っていますね。

2)バイクでの戦闘

狭い道路でスクヒの乗るバイクが疾走、彼女がバイク3台に囲まれながら日本刀で切りあうシーン。

これどうやって撮ったんでしょうね?

車のフロントガラスを中から割り、ボンネットに飛び移って、後ろ手にハンドルを操作しながら先行するバスを追跡、持っていた斧を使ってバスに飛び移るシーンも、スピード感が半端なくて凄いです。

3)ウエディングドレス姿での狙撃

そして結婚式の最中に新たなミッションを受け、式場のトイレの中から敵をライフルで狙うシーン。

高い椅子の上に乗って小窓から狙うのですが、ウェディングドレスの長い裾が椅子などを覆い隠しているため、まるで宙に浮いたかのような感があり、とても美しいシーンになっているんです。

2.キム・オクビンの身体能力

主役のスクヒを演じたキム・オクビンは、撮影開始までの3カ月間を、ソウルアクションスクールでの特訓に費やし、肉体面でのトレーニングに加え、多種多様な武器(ナイフ、日本刀、拳銃、機関銃、狙撃銃、手斧など)の扱いも習得。

そしてクランクインしてからも、キム・オクビンは5カ月以上ひたすらアクション漬けの日々を過ごしたらしいです。

彼女は劇中の9割以上のアクションシーンを自ら演じている、とのこと。

しかもこの時、アクション未経験者だったそうなので余計に驚き、です。

テコンドーとハプキドー(合気道)の黒帯を持っているということなので身体能力は高いのでしょうね。

特に、ウェディングドレスのまますっくと立った(しかも椅子みたいな狭い足場に)姿勢がとても美しいので、格闘技や武器の訓練も受けたのでしょうけど、体幹も鍛えているに違いない、と思いましたね。

もうストーリー自体はどうでもよかったです、ほんと?!

彼女のアクションさえ観られれば。

この人、もっとアクション映画に出てほしいですね。

しかも本作のようなウエットなのではなく、もっとドライなのに・・・

期待したい女優さんでした。

ところで、韓国語の「悪女」って日本語の悪女の意味なんだろうか?
主役のスクヒはとても純粋な女性だったので、悪女というのにはふさわしくないな・・・と、もっと他の呼称の方がぴったりくるのではないかと思ってしまいました。

3.悪女/AKUJO 作品概要

作品概要

作品名:「悪女/AKUJO」

2018年公開
監督:チョン・ビョンギル
スクヒ:キム・オクビン