「隠し砦の三悪人」気品ある上原美佐はお姫様だった
先日観た「独立愚連隊」(1959)について、さほど強烈な印象はなかったのですが、唯一、上原美佐の印象だけはとても強く残っており、彼女を見たいがためだけに本作を視聴してみました!
雪姫を演じる上原美佐、大学在学中に本作のヒロインとして抜擢されたとのことですが、とっても良かったんですねえ。
1.美しい乗馬姿
「独立愚連隊」の際も感心しましたが、彼女、乗馬ができるんですね。
背筋がピシッと伸びてその乗馬姿が美しいんです。
本作では、お姫様らしいきらびやかな衣装を身に着けているのはラストの部分だけなんです。
それまでは、負けた秋月家から同盟国の早川家へ敵国を突破していこうということで、短パンの野生児みたいな恰好をしています。
でも、そんな野性的な女性を演じていても、容姿も立ち居振る舞いも毅然としていていいんです。
そしてまた目力が素晴らしい。
(ピンと跳ね上がったように描かれた眉のせいもあるかも、です)
半面、後半の火祭りのシーンでとても楽しそうに踊る姿も、若い女性らしさを垣間見せて印象的でした。
敵に捕らわれ柱に括り付けられた雪姫のセリフが毅然としていてよかったですよ。
「姫は楽しかった。」
「この数日の楽しさは城の中では味わえぬ。」
「装わぬ人の世を、人の美しさを、人の醜さを、この目でしかと見た。」
2.三船敏郎の馬術
疾走する馬にまたがり、両手で刀を握って八双の構え、膝だけで馬を制御しているシーンが素晴らしいです。
そして人を一人片手で引っ張り上げられる筋力。
他に印象に残ったのは、埋蔵金堀りの苦役に従事させられた捕虜たちが暴動をおこし逃げ出すシーン。
大勢の捕虜たちが一気に坂を駆け下りてくる様は迫力満点でした。
3.蓬莱峡
隠し砦が築かれていた峡谷なんですが、あまりに険しいので本当にこんな場所が日本にあるのか?と目を疑ったほどです。
後に調べてみると、兵庫県西宮市にある「蓬莱峡」(ほうらいきょう)という世界でも有数の険しい峡谷らしいです。
ただ映画のストーリー自体に関しては、狂言回しの百姓、太平と又七があまりに強欲で、金を手に入れたり、せっかく手に入れた金を強欲のあまり失ったりのドタバタがやや冗長に感じました。
上映時間139分はもっと短くてよかったんじゃないでしょうか。
本作は、第9回ベルリン国際映画祭監督賞(銀熊賞)受賞
第9回ブルーリボン賞作品賞受賞
第32回キネマ旬報ベストテン第2位、脚本賞受賞
1977年公開のジョージ・ルーカス監督作「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」のアイデアは、本作を基にしていることを監督自らが語っているそうですね。
また、レイア姫の男勝りな性格や行動には雪姫の影響があるんだそうですよ。
上原美佐さん・・・「自分はこの仕事に向いていない」と2年で引退したんですって?!
気品があって、ほんとにお姫様のような方でした。
まったく・・・惜しいです!
4.隠し砦の三悪人 作品概要
作品概要
作品名:「隠し砦の三悪人」