映画は心の筋トレ

子どものころ観たゴジラ映画に始まって今も観続けている映画の備忘録

学生寮、そして下宿。共同生活には不向きな自分.......「ワンダーウォール」

本作はNHK京都放送局制作の「京都発地域ドラマ」としてNHKBSプレミアムで2018年7月25日に放送されたTVドラマ(59分)が、未公開カットを加えた68分間のディレクターズカット版として劇場公開されたものです。

脚本は朝ドラ史上最高傑作として名高いカーネーション」(2011)の脚本を書かれた渡辺あやさんです。

1.学生寮、そして下宿。共同生活には不向きな自分

1)学生時代は下宿生活

私も大学に入るとようやく実家を離れて一人暮らしを始めました。

自宅から通える大学というのは全く念頭にはありませんでしたね。

とにかく家を出よう、の一念でしたから。

当時の選択肢は学生寮か下宿かの二択。

でも私は学生寮に入る気は全くなく、下宿を探しました。

ただ大学合格してから下宿を探し始めたのですが、タイミングが遅かったのか大学に近くて安い手頃な下宿は既になく、自転車で数十分のところにある安いアパートの一室を借りました。

大変でした。

私は運動部に入部したものですから。

きつかったんです。疲れた体でまた自転車を何十分も漕ぐのは・・・

試合の日などは集合駅まで、早朝、自転車を飛ばしていったものです。

絶対に遅れられないので(運動部ですから)それは必死でした。

学校に通うだけでも大変な日々を過ごしていましたが、ほどなく友人の紹介で大学近隣に下宿をすることが出来ました。

古いですが大きな邸宅の2階の一部屋です。

すでに他の部屋は埋まっていたので、北西の部屋しか空いてはいませんでした。

勿論、風呂なし、トイレは一階に住んでる大家さんのを使用、洗濯機だけは学生用に一台用意してくださってました。

もうかなり古い邸宅でしたし、建付けが悪いのか、ガラス戸がきっちり閉まらず隙間風が入るような部屋でしたが、でもやっと憧れの下宿生活です。

大家さんには結構、ご迷惑もかけましたが、ここには2年生の終わりまで下宿させてもらいました。

残りの2年は大家さんとは別棟の建物で、学生だけが5~6名入るような下宿。

勿論、風呂なし、トイレ共同です。

私宛に電話が入ると向かいにある大家さんの家まで電話を借りに行くような、そんな生活でしたが楽しかったですよ。

平日は大学生協で、日曜は近隣の定食屋で夕食を、そしてこれまた近隣の銭湯に通う、そんな日々です。

名画座も歩いていけるような場所にあったので、毎週末あしげく通いました。

2)共同生活には不向きな自分

二択の内の学生寮

憧れはあったんですよ。

仲間との共同生活。

毎晩、酒飲んで語り合って・・・

いやでも私には無理という確信があって学生寮は選択しませんでした。

なんせ無精者なんです。

下宿時代もたまった洗濯物を黙って下宿先のおばさんが洗濯しててくれたことがありました。

嬉しかったのと同時にとても恥ずかしかった思いがあります。

学生時代に一番苦労したのが洗濯でしょうか。

なんせ面倒ですから。

どうしてたのでしょうね?

不思議に記憶にないんです。

苦労したはずなのに。

嫌な記憶は消し去ってしまったか・・・というくらいのものです。

そんな無精者なのに、他人のは許せないんです。きっと。

おかしいですよね。

でも確信があります。

自分は無精者なのに他人の無精は許せない自分がいます。

無精なのに神経質というやつでしょうか。

毎日毎日だから他人と共同生活は無理でしょうね。

絶~対、無理なはずです。

本作「ワンダーウォール」は存続の危機にある学生寮が舞台なんです。

ボロい!? いや見るからに汚い・・・雑然としています。

自分の物か他人の物かの区別もつかなそう・・・

でも活気があって楽しそうではあるんですけど。

思い描いていた学生寮、共同生活のイメージではありますが、自分には無理。

しかも女子大生も寮にいるんですよ。

凄すぎます?!

一方、自分には絶対無理と思っている共同生活をしている学生たちは羨ましいとも思うんですよね。

逞しいです。

青春を謳歌しているという感があります。

あんな雑然とした中で他人と共同生活できるなんて、それだけで凄いです。

本作はドキュメンタリーのようなフィクションなんですが、実は本当に存亡の危機にある学生寮を元にしているんですね。

私は何代にもわたって学生たちが営々と築いてきた、維持してきたものはやはり残すべきだと思いました。

自分にはとてもそこに入る勇気もなかったけど。

そんな学生寮で生活していける逞しい学生たちのために残ってほしいと思います。

3)Wonderwall

最初「ワンダーウォール」という映画のタイトルを聞いたとき、wonder なのか wander なのかわかりませんでした。

wonder なら「不思議、驚異、驚嘆すべきもの、奇観、奇跡」といった意味になりますし、wander なら「歩き回る、彷徨う、放浪する、迷う、横道にそれる」といった意味になります。

でも本作は、wonderwall のようですね。

直訳すると「不思議の壁」になるでしょうか。

ロックバンド、オアシスの曲に「Wonderwall」というのがあります。

この対訳は「彷徨う俺の終着点」なんだそうです。

wall は壁なので、そこから先に進めない、だから終着点と訳したのでしょうか。

でもwonder だけど「彷徨う」と訳してるんですね。

なら wander じゃないか、とも思ったりしますけど。

学生課にある日突然、透明の仕切り壁が立てられたことによって、学生たちと大学側とのコミュニケーションが急速に悪化していきます。

「不思議の壁」より「彷徨う壁」(これ以上先には進めない彷徨う俺たち)の方が合っているような気はしました。

「ワンダーウォール」このタイトル、奥が深いです。

考えさせられますね。

2.「ワンダーウォール」の作品概要

作品概要

作品名:「ワンダーウォール」

監督:前田悠希

脚本:渡辺あや