「ある女流作家の罪と罰」深みにはまっていく人生、哀しくて滑稽
落ち目になった小説家が著名人の手紙を捏造、それを売って稼ぐが、結局は・・・というお話。
予告を観てても地味な映画だなぁ、という印象。
それに見た目ぱっとしない中年女性が主人公だし・・・と迷った挙句、でも観てみました。
以下ネタバレあります。。。。
1.捏造する才能
いえいえどうして、とても面白かったです!
著名人が書きそうな手紙(の文章)を創作する(捏造する)のはかなりの能力が必要だと思うのですが、この主人公リー・イスラエルにはそれが可能だったんですよね。
ある意味、才能があったということです。
でもどんどんエスカレートしていき、図書館で手紙の類を盗みだすまでになってしまうと彼女の運命も結末は見えてしまってましたね。
いい加減なところで止められなかったのでしょうか?
理性は働かなかったのでしょうか?
なんて偉そうなこと言ってますが、こういうのって多かれ少なかれありますよね。
このまま続けるとあまり宜しくない結果になるのは頭ではわかっているのに、でもやめられないことって。
何とかなるんじゃないか、自分だけは大丈夫じゃないか、とどこかで期待してしまっていること。
でもそんな神風が吹くわけはないのです・・・
生活費を稼がないといけないという切実な事情がある一方、自分が捏造した手紙が古物商たちには絶賛され、小さくない金額が対価として支払われることで彼女のプライドもくすぐられたのだろうとも思いました。
「私にしか出来ない芸当(ビジネス)よっ!!」ってところでしょうか。
2.メリッサ・マッカーシー
リー・イスラエル演じるメリッサ・マッカーシーがいいです。
自分の過去の作品が75%オフで書店で売られている落ち目の作家、収入がほとんどなく、恋人もいない。
猫だけが友だち(その猫も死んでしまう)、酒は飲むし、毒舌の中年女性の滑稽さと哀しみが伝わってきますね。
タッグを組むことになるジャック・ホック役のリチャード・E・グラント(イギリス出身)もまたいいんですよ。
ビシッとしていると格好いいイギリス紳士なんだけど、普段どんな生活をしているかわからない、でも帰る家もないのじゃないだろうか、と想像させてくれる、その怪しさ。得体が知れない。
メリッサ・マッカーシーは「チャーリーズ・エンジェル(2000年)」「ザ・シューター/極大射程(2007年)」(店員役)にも出演しているんですね。
「ザ・シューター/極大射程(2007年)」は好きな映画で、また観ることもあるでしょうから、その時は注意して観てみましょう。
面白かったです。
観てよかったです。
見た目の印象だけで決めてはいけませんね。
本作、残念ながら日本では未公開のようです。
良作だけど地味な作品は興行的には難しいでしょうけどね・・・
ところで本作はリー・イスラエルの「Can You Ever Forgive Me ?」という2008年に発表された自伝を基に製作されていますが、その自伝は売れたんでしょうか・・・?
3.ある女流作家の罪と罰 作品概要
作品概要
作品名:「ある女流作家の罪と罰」
2018年公開
監督:マリエル・ヘラー
レオノア・キャロル・イスラエル(リー): メリッサ・マッカーシー
ジャック・ホック: リチャード・E・グラント