映画は心の筋トレ

子どものころ観たゴジラ映画に始まって今も観続けている映画の備忘録

鍛えられた声量.....迫力ある一喝.....「駆込み女と駆出し男」

江戸時代、幕府公認の縁切寺であった東慶寺を舞台に、離縁を求めて寺に駆け込んでくる女性たちのために聞き取り調査を行う御用宿の居候である見習い医師が、様々なトラブルに巻き込まれながら訳あり女性たちの再出発を手助けしていく様を描いた作品です。

一見コメディ作品なのかなと思ってしまいますが結構シリアス、でもその中でも笑えるシーンもあるんです。

井上ひさしさんの「東慶寺花だより」という小説が原案ですよ。

1.鍛えられた声量と迫力ある一喝

1)嫌いな自分の声

自分の声ってあまり好きではないですね。

誰しも経験あるんじゃないかと思いますが、録音された自分の声を聴いたりすると、自分で思っている(想像している)声と全然違っていて、愕然とします。

声自体は生まれつきのもので今更変えられないとしても、もっとドスのきいた迫力ある声が出ないものかとは思ったりもします。

単に大きな声を出すだけでは、単に叫んでいるだけ、もしくは怒鳴っているだけで、それは魅力的な声では決してないですね。

聞き苦しいだけです。

2)声量って何でしょう?

声量という言葉には、「声の量」、「声の大きさ」という意味があります。

でももっと大事な意味が含まれているようです。

それは「声の量」ではなく声の「響きの強さ」なんだそうです。

そうか!

「響き」なんですよ。

単純に大きいだけの声は騒音で不快でしかないでしょうね。

声の音量が大きくて、なおかつ聴いていて心地よいと感じる要素には「響き」「共鳴」があるんだそうです。

この「響き」「共鳴」を表現できるようになると、ささやく時と同じくらいの喉の負担で声量が出せるようになるんだそうです。

声量をあげるためには、私は「腹筋を鍛える」というのが有効な方法だと思っていました。

でもそれ以外にも「喉や呼吸をコントロールする」必要があるようです。

筋トレだと私も数十年、あれやこれやと試行錯誤してきて、ようやく自分に合った方法というのをある程度、つかんだ感がありますが、声量という話になると、これはもう自己流のトレーニングではなく、やはり専門の方にトレーニングしてもらうのが最良の道のように思えます。

3)迫力ある一喝

作中、声量ある迫力ある一喝を披露してくれるのが法秀尼役の陽月華(ひづきはな)さんです。

この方は1980年生まれ、元宝塚宙組トップ娘役の方なんです。

道理で鍛えられた声量の持ち主です。

見習い医師の中村信次郎(大泉洋)が大審問において想像妊娠した女性を診るよう要請され、それを断るためグダグダと言い訳をします。

そこで法秀尼が一喝!

ここ「ああ”~~!」(あ に点々ついてます)とも「トオ~~!」とも聞こえるんですよ。

吠える法秀尼?!

当然、信次郎はその迫力に腰砕けになるのですが、思わず吹き出すほど可笑しかったです。

私はこのシーンが本作のベストのシーンだと思ってるんです。

それほどその一声が素晴らしい。「響き」があります。

鍛えている人は違いますね。

2.「駆込み女と駆出し男」の作品概要

作品概要

作品名:「駆込み女と駆出し男

監督:原田眞人

3.あとがき

本作を観ようと思ったきっかけは満島ひかりさんです。

愛のむきだし」(2009)ですよね。

本作でも素晴らしい演技でした。

特にあの「虚空」を両手でつかむような仕草は何を意味していたんでしょう?

いまだにあのシーンは目に浮かぶのですが、わかりません・・・

武田真治さんも良かったですね。

テレビのバラエティで観る彼とは全然違います。

本作143分とかなりの長さなんですが、それを感じさせないほど面白かったですよ。