「スリー・ビルボード」母は強し、負けるなお母ちゃん!
原題は「Three Billboards outside Ebbing, Missouri」
ミズーリ州エビング郊外の3枚の広告看板という意味。
予告編を観て、女性が(権力とかと)闘う話のようだったのでどんなものかと観てみました。
全然、予備知識もなかったし、地味な印象でもあったし。
ということで、さほど期待はしていなかったのですが、・・・
1.3枚の広告看板
序盤、3枚の広告看板が立てられるあたりで既にもう
(なんだ、この映画は?!)
(力強い)
(ひきこまれる)
(これでもしアカデミー賞にノミネートもされていないんだったらおかしいぞ)
と驚きに変わっていく・・・。
3枚の大きな屋外看板に書かれているのは
「RAPED WHILE DYING」(レイプされて殺された)
「AND STILL NO ARRESTS?」(いまだに犯人が捕まらない?)
「HOW COME CHIFE WILLOUGHBY?」(どうしてウイロビー署長?)
ここから娘をレイプされて殺されたミルドレッド・ヘイズと警察、そしてエビングという町の住民たちとの闘いが始まる。
2.闘うお母ちゃん
このミルドレッドというお母ちゃんが闘うんですよ。
度重なる嫌がらせにも批判にも偏見にも負けない、のだ。
かかってくる奴はただではすまさないって感じで、強いんです。
結末はあっという展開になるのかと(意外な犯人がつかまるとか)想像していたのですが、こちらの期待通りの終わり方はしませんね。
「ふ~ん???」
スカッとは終わらないんですね・・・でもそれがまた余韻を残していい味を出しています。
以下、ネタバレあります。。。
3.最も印象に残ったシーン
特に印象に残ったのは、ミルドレッドが車中、警察署に放火したのは自分だとディクソン(放火された時たまたま署内にいて大やけどを負う)に告白。
しかしディクソンは驚きもせず「あんた以外に誰がいる?」とさらっと返すシーン。
え~?!ディクソンよ・・わかってたの?! 恨みはないのかよ~~
それまでディクソンはレイシスト(人種主義者)で乱暴者(そのため警察を解雇される)でミルドレッドに敵対していたはずでしょ。
なので、このディクソンの素っ気ない反応には本当に驚かされました。
警察を解雇された時点で(それも黒人の警察署長に)もうディクソンは画面から消え去ったと思ったのですが、これがまた意外な形で画面に戻ってくるんですよ~
ディクソン演じるのはサム・ロックウェル!
彼がいいんですよ。ホントいいですよね~
それと大やけどを負ったディクソンが広告代理店経営者のレッド・ウェルビー(ディクソンに事務所2階から放り投げられ入院している)と偶然、同じ病室になるシーン。
酒場で出会った男が犯人ではないかと推測したディクソンがその男の顔をかきむしったシーン。
なんでわざわざ顔をかきむしった?と怪訝に思っていたのだが、かきむしった爪についた相手の皮膚からDNA採取するためだったとわかる。
他にも、ディクソンのこれまたレイシストの母親、ミルドレッドの友人、小人症のジェームズ、若くふにゃっとして見えるけど意外に硬骨漢のレッド、などの面々。
いやあ役者たちの演技は素晴らしいし、骨太の内容で、一筋縄ではいかないところ、面白かったです。
後で調べたところ、アカデミー主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)助演男優賞(サム・ロックウェル)をちゃんと獲っているじゃないですか・・・
すいません・・・
4.スリー・ビルボード 作品概要
作品概要
作品名:「スリー・ビルボード」(Three Billboards outside Ebbing, Missouri)
2017年公開
監督:マーティン・マクドナー
ミルドレッド・ヘイズ:フランシス・マクドーマンド
ジェイソン・ディクソン巡査:サム・ロックウエル